管理会社からの電話で、一室を所有するマンションに駆けつけたら……。上階の部屋で殺人事件が発生し、なぜか容疑者が配管を壊したため、他人に貸していた3DKは水浸しになっていた。この日を境に著者の白髪が増えていく。

 まんしゅうきつこの漫画が付いたサブカル本のような体裁だが、著者の直面する理不尽な状況にハラハラドキドキさせられた。現場保全を理由に水漏れが3日半も続いたため、余儀なくされたリフォームの見積もりは1千万円を超える。同情してくれていた修理修繕会社が儲けをたっぷり上乗せしていたのが発覚するなど、著者ならずとも表紙にある「ムンクの叫び」に似た漫画の心境に陥る。しかし、本当の災難は殺人犯を相手にした損害賠償裁判だった。推理小説などの比ではない、ホラーなノンフィクションだ。

週刊朝日 2017年4月28日号