谷崎潤一郎から角田光代まで、47人の作家・著名人による自分ととの関わりをつづったエッセイ(漫画も含む)を集めた一冊である。

 猫を飼ったことによる心境の変化をつづる角田や片岡義男、猫に名前をつけることについて語る村上春樹や堀江敏幸、どんな野良猫が生き残るかを観察した佐々木幹郎、さらには、猫を擬人化して生きる上での哲学を語らせる水木しげるまで、その切り取り方はさまざま。ひたすら自由な振る舞いを見せる猫だからこそ、人間のインスピレーションを刺激し、夏目漱石の『吾輩は猫である』や宮沢賢治の童話など重要な文学作品の源泉になってきたことも私たちに伝わってくる。

 ある時は「人間と対等」「尊敬の念を新たにする」とまで言わしめる猫。読者自身の猫との関わり方も、本書から学べるのでは。 

週刊朝日 2017年2月24日号