書評『地上の星』村木嵐著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

地上の星 村木嵐著

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村井重俊書評#話題の新刊

地上の星

村木嵐著

978-4163905266
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 戦国時代に小豪族五人衆のゆるやかな支配が続いていた天草だが、キリスト教が急速に広まり、豊臣秀吉の天下統一の波に呑みこまれていく。迎えた「天正天草合戦」(1589)では加藤清正と一騎打ちに向かう武将木山弾正、妻で天草一の美貌といわれたお京の方らが奮戦する。「武」の歴史だけでなく、布教のため、日本語とポルトガル語の辞書『日葡字書』作りに命をかける人々も登場する。少女時代から苦難が多かった「おせん」もその一人で、
「雨に濡れて、露恐ろしからず」
 という言葉を支えに生き続ける。徳川幕府が誕生した1603年に字書は完成、老いたおせんが入信する場面は美しい。
 松本清張賞を受けたデビュー作『マルガリータ』同様、宗教よりも生き方を問う作品となった。

週刊朝日 2016年11月25日号


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