漂流

話題の新刊

2016/09/29 11:15

 1994年3月、沖縄のマグロ延縄漁船の船長本村実が、37日間におよぶ太平洋での漂流から生還を果たした。その8年後、本村は再びマグロ漁に出たまま消息を絶ってしまう。
 死ぬ思いをしながらも、なぜ彼はまた船に乗ったのか。当人に聞けないがゆえ、今も帰りを待ち続ける妻や親族、同郷の沖縄・伊良部島「佐良浜」の漁師たち、救助したフィリピンの人々へと取材の網をひろげていく。
 証言の数は膨大だ。探検家でもある著者は、マグロ漁船に乗船し、船酔いでへろへろになりながらも、漁民のあり方に思いをめぐらせる。表に現れない「行方不明船」の多さにも驚かされる。
 蟻の穴を塞ぐかのような執拗な聞き取りの積み重ねから見えてくるのは、遠洋マグロ漁の栄枯盛衰であり、海以外に術を持たない「海洋民」の生活史である。

週刊朝日 2016年10月7日号

漂流

角幡唯介著

amazon
漂流

あわせて読みたい

  • 陸に上がった「船大工」が息子に託した復興の夢

    陸に上がった「船大工」が息子に託した復興の夢

    週刊朝日

    4/25

    一之輔がジョージア州の再集計に参加したら…「郵便投票」妄想劇場
    筆者の顔写真

    春風亭一之輔

    一之輔がジョージア州の再集計に参加したら…「郵便投票」妄想劇場

    週刊朝日

    11/29

  • 北朝鮮の核兵器使用で「韓国から大量の難民」の可能性も

    北朝鮮の核兵器使用で「韓国から大量の難民」の可能性も

    AERA

    12/12

    加工業者がマグロ船を建造、自ら漁に出た理由

    加工業者がマグロ船を建造、自ら漁に出た理由

    AERA

    12/2

  • 見ると寿命が75日延びる? 北半球のまれ星・カノープス=布良星を観測できる季節です

    見ると寿命が75日延びる? 北半球のまれ星・カノープス=布良星を観測できる季節です

    tenki.jp

    2/19

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す