書評『少年少女のための文学全集があったころ』松村由利子著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

少年少女のための文学全集があったころ 松村由利子著

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西條博子書評#話題の新刊

 新聞記者だった歌人が、幼少期の読書体験に基づいてさまざまな文学作品を読み解くエッセイ集。
 小学生のころ、メロンを食べるとルナールの『にんじん』を思い出した著者。母親に「お前の分はないよ」と冷たくされる少年の物語から食べ物にまつわる話はふくらむ。そして『不思議の国のアリス』の主人公の「アリス」という名前が、「愛ちゃん」「綾子さん」などに置きかえられた旧訳や、新訳でよみがえった『百まいのドレス』には、半世紀前の「~~わよ」「~~かしら」といった語尾が減ったことに触れる。
 1950年代から60年代にかけては子ども向けの文学全集の黄金期で、国や地域別に編まれ、世界の広さと多様性を伝えた。子ども時代の大切な思いや記憶を読書感想文に書かせる是非など、本を慈しむ気持ちが滲む。

週刊朝日 2016年9月30日号


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