書評『生姜(センガン)』千雲寧著/橋本智保訳 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

生姜(センガン) 千雲寧著/橋本智保訳

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すんみ書評#話題の新刊

生姜

千雲寧著/橋本智保訳

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 暴力性の問題に関心を抱き続けてきた韓国の女性作家が、軍事政権だった1980年代の韓国を舞台に描いた長編小説だ。
 80年代の韓国は「アカ狩り」が唱えられ、罪のない人までが壮絶すぎる拷問を加えられていた時代だった。主人公のソニは自分の父が拷問技術者であるとはつゆ知らず、入学したての大学で幸せなキャンパスライフを思い描く。だが、父が人を殺しまでした悪名高い拷問技術者だと知ってから平和だった彼女の人生は奈落に落ちる。
 ソニの父は本当の悪人なのだろうか。彼は「アカ狩り」が正義だという時代の信念を鵜呑みにしてしまっただけではないか。しかし、間違った信念は殺人の罪を犯すこともある。
 正義とはなにか、権力とはなにかを考えさせてくれる良作だ。

週刊朝日 2016年7月29日号


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