書評『〈花〉の構造 日本文化の基層』石川九楊著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

〈花〉の構造 日本文化の基層 石川九楊著

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西條博子書評#話題の新刊

 書家が、日本語において「花」とは何かを構造的、歴史的に説き明かした文化論。
 中国語の「華」は、花の姿をかたどった象形文字で、それを省略したのが「花」。漢字語の中国で、「花」は政治的エリートが備えるべき品格や品性、佇まいの象徴として見られていた。それに対して古今和歌集、源氏物語に見られるひらがな語は季節を歌いあげ、性愛を物語る表現をゆたかに作り上げてきた。咲いている花のもとに男の鳥が通ってくるという構図が下地にある。ひらがなが性愛を愛する日本人を創ったのだ。その他、東アジアで共通の象徴的な花といえば「梅」であることや、花言葉の書物の三つを挙げて比較するなど興味がつきない。東アジアでは「ぼたん」に王者の風格を見るが、花言葉には恥じらいや人見知りの意味もあるなど楽しい。

週刊朝日 2016年6月24日号


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