書評『岐阜を歩く』増田幸弘著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

岐阜を歩く 増田幸弘著

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中村智志書評#話題の新刊

岐阜を歩く

増田幸弘著

978-4779170546
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 2006年からチェコやスロヴァキアで暮らす50代の著者のルポ。地味な仕立てだが、複眼的な視点に基づく日本の「現在」が立ち上がってくる。
 笠松町の名菓「しこらん」は、老舗の主人が亡くなり、2010年に450年余の歴史に終止符を打つ。だが、老舗の関係者や地元の菓子組合が試行錯誤のうえ復活させた。それを可能にしたのは餅つきを共にするような結束の強さであり、著者はそこに本物の町おこしを見る。
 和紙、織部焼、鵜飼い、ギター、ゴキブリだんご、ツチノコ、スーパーカミオカンデ……。岐阜に息づく奥行きを楽しめる。「ニッポンすごいぞ」とは違う次元で、人々の底力が伝わってくる。それは、どの県にもあるのだろう。終章は欧州のルポ。スロヴァキアの世界遺産の村の、観光化になびかない姿もいい。

週刊朝日 2016年5月20日号


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