チェーホフ 七分の絶望と三分の希望

話題の新刊

2016/04/14 11:19

 19世紀末に『かもめ』「かわいい」など数々の名作を残したロシアの作家チェーホフ。100年以上が経った今でも読まれ続ける彼の魅力にロシア文学者が迫る。
 遺された作品や手紙などの資料から浮き彫りになるのは、「冗談好きの陽気な南方気質の持ち主」であるチェーホフのユーモアだ。例えば著者が「『ユーモア短編』の頂点」と評する「ワーニカ」。主人公ワーニカは、奉公先でひどい扱いを受けていることを田舎の祖父に伝えようと手紙を書くが、9歳の少年が必死に考え出した宛先は「村のじいちゃんへ」だった。この言葉は現代のロシア語辞典に「宛先不明のときにおどけて言う慣用句」として登録されているという。
 医師でもあったチェーホフは執拗な喀血に見舞われながらも結核にかかったことを一向に認めようとせず、冗談まじりの言葉ではぐらかそうとする。作品も人生もユーモアを徹底したチェーホフの態度に好感が持てる。何よりも笑いを大事にしたチェーホフの魅力を存分に味わえる一冊だ。

週刊朝日 2016年4月22日号

チェーホフ 七分の絶望と三分の希望

沼野充義著

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チェーホフ 七分の絶望と三分の希望

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