GONIN サーガ

話題の新刊

2015/10/08 11:04

 本書は難病のために引退を表明していた根津甚八が出演する同名映画のノベライズだ。監督・脚本の石井隆の、小説デビュー作でもある。
 1995年に公開されたバイオレンス・アクション映画「GONIN」の続編にあたり、ある5人組が暴力団から現金を強奪した事件の19年後が舞台だ。主人公は前の事件で死んだヤクザや警官の「遺児」たち。彼らもまた前の事件をなぞるかのように暴力団から大金を強奪する。簡単に容疑者が特定され、追っ手と凄惨な殺し合いになるのも酷似している。異色なのは、前の事件の登場人物のエピソードに約100ページを費やし、前作との関連を印象づけていることだ。
 著者は「愛するものを奪われたものたちのさらなる憎しみの連鎖」に焦点を当てる。また、ちあきなおみや森田童子の流行歌を挿入し、登場人物の心象に重ねる描写は、70年代にヒットした著者による劇画『天使のはらわた』(のちに映画化)から続く手法だ。憎悪とねじれた愛情がからんだ男女の姿は、現代のロミオとジュリエットの物語としても読める。

週刊朝日 2015年10月16日号

GONIN サーガ

石井隆著

amazon
GONIN サーガ

あわせて読みたい

  • 大阪府警暴力団 担当刑事

    大阪府警暴力団 担当刑事

    4/3

    「餃子の王将」社長射殺の捜査に進展 事件直前に目撃された“謀議”とは?【平成未解決事件】

    「餃子の王将」社長射殺の捜査に進展 事件直前に目撃された“謀議”とは?【平成未解決事件】

    dot.

    12/16

  • 六代目山口組と神戸山口組の因縁の抗争がまた勃発 裏に新型コロナの影響も?

    六代目山口組と神戸山口組の因縁の抗争がまた勃発 裏に新型コロナの影響も?

    週刊朝日

    6/1

    組員に自分と息子を刺されても―― 山口組内部を50年取材し続けた記者の渾身の記録

    組員に自分と息子を刺されても―― 山口組内部を50年取材し続けた記者の渾身の記録

    BOOKSTAND

    8/10

  • 警視庁マル暴部門が大改編する理由

    警視庁マル暴部門が大改編する理由

    週刊朝日

    2/10

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す