書評『面白可笑しくこの世を渡れ』遠藤周作著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

面白可笑しくこの世を渡れ 遠藤周作著

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すんみ書評#話題の新刊

 日本人におけるキリスト教と信仰の問題を描き続けた芥川賞作家遠藤周作によるエッセイ集。狐狸庵(こりあん)と自称し、ユーモアに富んだ文章を数多く残した時代に書かれたものが主に集められている。
「小児的な悪戯と馬鹿馬鹿しいことへの異常な好奇心」だけは年を重ねても直らないと語る著者の性格が垣間見える内容となっている。蝋でできたチョコレートで相手を騙してはその反応を笑ったり、持ってもいないビートルズのパンツがひどく臭かったと嘘をついて、ファンの少女たちをからかったりする。宗教など重いテーマを扱う作家だが、生き様はとても愉快で面白い。
 それ以外にも、時には飲み屋で出会った男に愛読者だの実物の方がええ男だのと乗せられて、勘定を払わされる羽目になったと怒り、時にはひょんなことで近所付き合いが始まった女性の若き死を悲しむ。人と話す時には喜怒哀楽がそのまま顔に出てしまう素直な性格だと述べているが、その豊かな表情は文章にもそのまま表れている。著者の魅力を存分に味わえる一冊だ。

週刊朝日 2014年12月19日号


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