青山潤が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5

番外編

2014/08/08 19:38

「生き物」を知らずとも生物学研究のできる時代である。特定の器官や遺伝子のみを深く追求するスタイルが確立したためだ。したがって生物学者といえども、子どもの頃、生き物と見れば家へ持ち帰り、母親にぶん殴られていたような人ばかりではない。「まず観察」というのは一昔前のセンスとなりつつある。
 こんな時代に読む『アマゾン河の博物学者』は妙に心に染みる。今から100年以上前、大秘境であるアマゾン河周辺に10年余りも滞在し、様々な動植物をヨーロッパへ報告し続けたベイツの名著である。最近の専門書を読んでも生き物について学んだような気がしないのに、本書は自分がアマゾンの川岸に座り込み、じっと生き物を見つめているような気分にしてくれる。
「生き物の話なら魚の種類だけあるぜよ」。そう豪語する高知県の川漁師、宮崎弥太郎さんは『仁淀川漁師秘伝』で川の魅力を語り尽くしている。漁の基本は生き物の習性をよく知ること。そのためには好きになること。それも魚だけでなく、川の仕組みや、鳥や虫を含めた季節との関係にまで興味を持つことと語る。自慢の川船からジッと水面を見つめる弥太さんの息づかいが聞こえてきそうだ。
 一方、小さな機械を取り付けて動物の行動を調べる「バイオロギングサイエンス」を駆使し、より攻撃的に生き物を見つめるのは佐藤克文さんだ。世界中を飛び回り、手当たり次第に動物の行動を調べる佐藤さんは、よちよち歩きの我が子にまで機械を取り付けた逸話を持つ。
『巨大翼竜は飛べたのか』は、タイトル以上に壮大なスケールで動物の行動を浮かび上がらせている。2009年、ナショナルジオグラフィック協会から「現代の探検家」として表彰された実績は伊達ではない。

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