舞台

話題の新刊

2014/04/02 16:51

 初の海外一人旅でニューヨークを訪れた、自意識過剰な青年の葛藤を描く。
 主人公の葉太は29歳。観光客と思われないようガイドブックを丸暗記するなど、周りの目が気になって仕方がない。財布やパスポートを含む「ほとんどすべて」が入ったバッグを盗まれても、滞在初日で盗難にあった間抜けな奴と笑われることを恐れ、警察や領事館にも行けない。しかし、ほぼ無一文で生活する中、自意識過剰のもととなった幼少期の出来事や、理想の自己を演じ続けた父に対する嫌悪の感情と向き合うことで、自意識でがんじがらめの葉太に変化が訪れる。
 著者は2013年、『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞を受賞。本書では、これまでの作品にはないメッセージが込められている。自意識過剰で、「ありのまま」でいられない自己の存在を認め、受け入れることで、初めて自分が「きちんと自分になれる」ことを説く。物語を読み進めるうちに、読者は葉太の自意識過剰を笑えなくなる。葉太とともに苦しみ、葉太とともに「きちんと自分になれる」小説だ。

週刊朝日 2014年4月11日号

舞台

西加奈子著

amazon
舞台

あわせて読みたい

  • 【芥川賞発表】アルバイトを“クビ”になり、小説を書き始めた ――新・芥川賞作家の今村夏子が作家になるまで

    【芥川賞発表】アルバイトを“クビ”になり、小説を書き始めた ――新・芥川賞作家の今村夏子が作家になるまで

    dot.

    7/17

    クリープハイプ尾崎世界観 赤裸々日記の第二弾『苦汁200%』3/16発売決定

    クリープハイプ尾崎世界観 赤裸々日記の第二弾『苦汁200%』3/16発売決定

    Billboard JAPAN

    2/14

  • androp書き下ろし、岡田将生×木村文乃W主演映画の主題歌公開

    androp書き下ろし、岡田将生×木村文乃W主演映画の主題歌公開

    Billboard JAPAN

    10/30

    芥川賞候補『星の子』が描き出す“むきだしの真実”

    芥川賞候補『星の子』が描き出す“むきだしの真実”

    dot.

    6/20

  • 今村夏子の新作は「読む側によって姿を変えるおそるべき小説」

    今村夏子の新作は「読む側によって姿を変えるおそるべき小説」

    dot.

    6/7

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す