書評『なぜ競馬学校には「茶道教室」があるのか』原千代江著 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

なぜ競馬学校には「茶道教室」があるのか 原千代江著

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江田晃一#話題の新刊

 日本中央競馬会(JRA)の騎手を育成する競馬学校が開校したのは1982年。現在でも第一線で活躍する武豊、横山典弘、三浦皇成など一流騎手が輩出してきた。馬の世話や騎乗訓練が授業の大半を占めるが、卒業生の多くが「もう一度受けたい」と口をそろえる意外な授業がある。茶道だ。
 開校以来、騎手候補生に茶道を教え続けた著者は「騎手と茶道には共通する点が少なくない」と語る。無駄な動きを省き自然体が求められる姿勢、感性の重要性……。実際、一流騎手ほど茶道の素養も持ち合わせているケースが多いという。
 とはいえ、これは結果論に過ぎない。競馬学校の求人が舞い込んできた時に、学校側から著者に求められたのは「お菓子の食べ方を教えること」。減量に苦しむ生徒たちに公然とお菓子を食べさせてあげる場を設けたかったのが学校側の狙いで、茶道を教えることは求められていなかったのだ。それから約30年。一見、関係性が見つからない競馬と茶道が結びつき、騎手たちの人生観に大きな影響を及ぼしていることが興味深い。

週刊朝日 2014年2月28日号


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