書評『登頂 竹内洋岳』塩野米松著 |AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

《話題の新刊 (週刊朝日)》

登頂 竹内洋岳 塩野米松著

このエントリーをはてなブックマークに追加
西條博子#話題の新刊

 日本人として初めて、8000メートル峰14座の完全登頂を成し遂げた登山家・竹内洋岳(ひろたか)の、記録達成までを描いたノンフィクション。13座目のチョー・オユーと14座目のダウラギリへの挑戦を、竹内への聞き書きと日記風ブログ、同行者の話で追いかける。
 竹内は、13座目を目指すにあたり、ブログ上で経験不問のパートナーを募集。1回目は初顔合わせの3人で登る。体を少しずつ高度に順化させて登頂を試みるのだが、同行者がゲロを吐きつづける中で、竹内の強さが際立つ。彼は、大量の酸素をつかう筋肉をそぎ落とし、180センチ65キロの細身である。しかし肺活量、筋肉、心拍ともに人並みらしい。
 1回目は断念。雪崩の斜面に踏みこんだ10歩が、竹内に痛恨の悔いとして残る。無酸素登山なので、サミットプッシュ時は酸素を消化に浪費できず、ザックには温かいポカリスエットとゼリー、カメラと衛星電話のみ。2度目は登頂後に道に迷い、ほぼ30時間歩きづめ。14座目でも下山ルートを見失い、ツェルトなしでうずくまって朝を待った。壮絶な闘いの後に爽快感がのこる。

週刊朝日 2013年10月25日号


トップにもどる 書評記事一覧


おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい