書評『転倒予防 転ばぬ先の杖と知恵』武藤芳照著 |AERA dot. (アエラドット)

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《新書の小径 (週刊朝日)》

転倒予防 転ばぬ先の杖と知恵 武藤芳照著

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青木るえか#新書の小径

転倒予防は“ぬ・か・づけ”に注意

 今年になってすでに3回転んでいる。昔から足元は弱かったが、足首をがくっとやっても、おっとっとで持ち直していたというのに、今ではそのままべちゃっと転んでしまう。「足首がくっ」がコワイのでぺったんこ靴しか履かないが、それでもこうだ。
 すごく危うい気がする。よく聞くじゃないですか、年寄りが転んで骨折して寝たきりになってボケて死ぬと。もし転んでなけりゃ死ぬことはなかったかもしれない。となれば転ばないようにしないと。
 そんな私を待っていたかのような『転倒予防 転ばぬ先の杖と知恵』。サブタイトルの“転ばぬ先の杖”は、慣用句としてのそれではなく、実際に「転ばないために杖をうまく活用する」ことを詳しく書いてある。杖の選び方、持ち方、使い方など。ただなあ……今ある杖が、よく病院の売店とかで売ってる、T字形というか、そういうやつで、この杖を見るだけで自分の老人性を突きつけられて心がしおれる。それは著者もわかっているらしく「杖を楽しむ」などと題して、楽しんで使えるオシャレな杖をススメるページもある。あるが……何かこうかっこよくない。いや、ほんとに杖を使わざるを得ないのならかっこいいも何も言ってられないのはわかるのだが……内田裕也が持ってるような杖なら喜んで持つんですけども。
 転ばない環境づくりも大事だ。「ぬ・か・づけ」に注意だそうで、「濡れているところ」「階段・段差」「かた“づけ”ていないところ」はつまずいたりしやすいと。「づけ」が少々苦しいが、なるほどと思う。自分のようなズボラな人間は、きちんとした暮らしが転倒を防ぐと聞いて気分が暗くなる。
 暮らしの中の運動実践というのも、家では一歩も動きたくない者としてはつらい。要するに、ダラケ生活をやめる、そしてきちんとした食生活。うーん。かっこいい杖がほしい、とか言いながらスナック菓子食べるチャラチャラ生活は、転んでボケて死ぬ道一直線か。気付きたくなかった……。

週刊朝日 2013年9月20日号


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