漂白される社会

話題の新刊

2013/06/05 15:42

 原発関連の著作で知られる若手社会学者が新境地を切り開いた。著者は社会の「周縁的な存在」へのフィールドワークをもとに、現代社会の姿を描き出す。
 「周縁的な存在」とは法や制度、社会規範と異なる原理で生きる人々を指す。登場するのは例えばマックを寝床代わりにし、携帯電話で連絡を取りながら移動キャバクラを営むホームレスギャル、裏受給マニュアルを通じて得た生活保護費を競馬・競輪に使い自由気ままな生活を送る元会社経営者などだ。かつて、アウトサイダーは服装などその外見を通して判別できた。しかし、彼/彼女らは外見からはわかりづらい「グレーなアウトサイダー」であり、それゆえ社会のなかで出会っても気づかれにくい。「漂白される社会」とは、周縁的な存在に本来備わる「色」がかように失われゆく過程を言い表したものでもある。
 長年商業ライターの活動経験がある著者は先行研究を参照し、一見ジャーナリスティックな対象にあえて学術的なアプローチで接近する。その橋渡しに、社会学的フィールドワークの新たな可能性を見た。

週刊朝日 2013年6月14日号

漂白される社会

開沼博著

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漂白される社会

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