書評『協力がつくる社会』ヨハイ・ベンクラー著/山形浩生訳 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

協力がつくる社会 ヨハイ・ベンクラー著/山形浩生訳

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谷本束#話題の新刊

協力がつくる社会

ヨハイ・ベンクラー著/山形浩生訳

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 社会で生き残るためには自分の利益を最優先するのが最善の行動である。生物の進化しかり、市場の論理しかり。そこで暴走しないように法律や規則で常に人を管理しておかなければならない、というのがまあ世間の常識。ところがいま、自分に直接利益がなくても、ルールで縛らなくても、ただ人と協力することでもっと良い成果を得られるという事例が次々に現れているという。協力と利益追求が矛盾なく共存する社会を提言する。
 アメリカで工場生産を劇的に向上させたトヨタのシステム、多数のユーザーのボランティアで構築するウィキペディアなどを検証すると、自分を公平に扱う環境と適切な動機づけが揃うと、たとえ無報酬でも人は予想以上に問題解決に協力する。驚くのは音楽ソフトのネット販売の事例で、不正コピーの訴追とソフト暗号化をしないでユーザーの自主性に任せると、ほとんどが適正な対価を払うという。
 すると田舎の無人野菜販売所というのは結構イケるやり方らしい。“無人野菜販売所式システム”がひょっとすると世界中で活躍するかもと思うと、ちょっと痛快。

週刊朝日 2013年5月31日号


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