ファミリーレストラン 「外食」の近現代史

新書の小径

2013/03/07 12:09

 読んでいてひたすら懐かしい。小学生の頃にうちの近所(武蔵野市中町)に「すかいらーく」ができて、当時はそこに行って「ハンバーグを食べる」のは「レストランでお食事」並みにハレの行事だったよ! (ただし、その近所の「すかいらーく」は「すかいらーく1号店で発祥の地だ!」と信じられていたのだが、この本を読むとぜんぜん違う。釈然としない)
 ファミレスが日本にここまで根づくまでを、明治維新以降から説き起こして書いてある。えー? ファミレスって昭和40年代のもんじゃないの?と思うでしょう。確かにそれはそうなんだが、「家族が楽しむために行く外食」ってものがそもそも明治維新以前にはほとんどなかった、と書かれるとけっこう目からウロコ。「家族で楽しく外食」の例として森鴎外が挙げられていて、茉莉だの杏奴だのがたしか「パッパと一緒に食べたアイスクリイム」「パッパと一緒に精養軒」とか書いていた。「なんだこのマイホームパパぶりは」と思ったけど、それは「当時、珍しかった」からなんだな。
 今、親も子供もバラバラに暮らしてる中で「ファミレスに家族で行く(たとえそれぞれがケータイ見てたとしても)」のは「家族の特別な団らん」てことになるわけか。昔の「デパートの大食堂」の位置がぐーんと下がって、いまはそれがファミレスになっているのだ。ロイヤルホストが「日本で最初のファミレス」であり、九州発祥の会社なので九州の人にとってロイホはファミレスの中でも一段上であるとか、デニーズは最初はもっとアメリカンな店だったとか、ファミレス知識はきっちり増やせる。
 著者の今柊二って、定食の本をいっぱい出している。今さんは「定食(ご飯、味噌汁、おかず、小鉢。メインはアジフライやハンバーグ)」が好きで、定食であれば58点ぐらいでも満足しちゃう人なのだ。私も定食でありさえすれば65点でも満足できる。今さんが嬉しそうにファミレスのセットを食べる様子を読めるのが嬉しい。

週刊朝日 2013年3月15日号

ファミリーレストラン 「外食」の近現代史

今柊二著

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ファミリーレストラン 「外食」の近現代史

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