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韓国窃盗ビジネスを追え
話題の新刊
2012/12/06 12:32
日本の寺から盗まれ姿を消した重要文化財は500点以上。その一部は韓国で流通しており、中には億単位で闇取引されているケースも少なくないという。韓国在住の日本人ジャーナリストが高麗時代の経典「高麗版大般若経」、仏画「阿弥陀三尊像」の行方を七年かけて追ったのが本書だ。
取材を通して著者が何度も遭遇するのが「日本に盗まれたものを取り戻して何が悪い」という韓国国民の根強い意識。韓国では日本の重要文化財の大半は倭寇や秀吉の朝鮮出兵で持ち去られたと見られており、犯罪に関わる者だけでなく、一般人や警察まで広くその意識を共有する。日本の寺院から消えた重要文化財に極めて似た経典を韓国の大手企業の会長が平然と所有していたり、窃盗犯が国民の間では「日本から美術品を取り戻した英雄扱い」されていることからも明らかだろう。
韓国で日本人というハンデを背負いながらも細い糸をたぐりよせ、犯人にたどりつく過程は読ませるが、同時に古美術品の世界を通しても日本と韓国の終わらない戦後を痛感させられる。
週刊朝日 2012年12月14日号
韓国窃盗ビジネスを追え
菅野朋子著


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