書評『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』クリス・アンダーソン著/関美和訳 |AERA dot. (アエラドット)

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《ベストセラー解読 (週刊朝日)》

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる クリス・アンダーソン著/関美和訳

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永江朗#ベストセラー解読

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

クリス・アンダーソン著/関美和訳

978-4140815762
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新しいものづくりの時代が来ている

 工業製品というと、工場じゃないとつくれないものと思っていた。ところが誰もが自分でつくれる時代になりつつあるという。パソコンとプリンタを使って、年賀状を自宅で印刷するように。
『フリー』で無料ビジネスの世界を紹介したクリス・アンダーソンの新著は『MAKERS(メイカーズ)』。この21世紀の産業革命ともいうべき事態を詳しくリポートしている。誰もがメイカー(つくり手)になれるというのだ。
 きっかけは3Dプリンタやレーザーカッターといった工作機械の登場である。3Dプリンタは、3次元、つまり立体のものをつくる。パソコンのプリンタの3D版だ。レーザーカッターは細かく複雑な仕事でも正確にこなす電動鋸。どちらも机の上にのるほどの大きさで個人でも買えるが、これらを備えた工作室が世界中で増えている。オバマ政権は今後4年間で千カ所の学校に工作室を開く。
 工具だけでものづくりはできない。設計図が必要だが、コンピュータとインターネットによって設計も簡単になった。セミプロが知識を持ち寄り、ネットで共有する。それを3Dプリンタやレーザーカッターに送ってものをつくる。大量生産が必要なものは、工場に設計図を送る。
 これだけでは、ものづくり革命ではなく日曜大工革命である。ちゃんとビジネスにつなげるしくみも生まれている、とアンダーソンは紹介する。インターネットで客を集め、資金を募るのだ。音楽の世界でメジャーとインディーズの境目がなくなったのと同じことが工業でも起きつつある。
 こうした21世紀の産業革命を可能にしたのは、コンピュータとインターネットだ。時代は大量生産から、少量多品種生産へと変わりつつある。となると、人件費はものづくりの決め手ではない。日本の企業は、生産拠点を海外に移すよりも、国内でコンピュータに関するスキルを磨いたほうがいいのではないか。

週刊朝日 2012年12月7日号


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