書評『黄金の少年、エメラルドの少女』イーユン・リー著/篠森ゆりこ訳 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

黄金の少年、エメラルドの少女 イーユン・リー著/篠森ゆりこ訳

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西條博子#中国#話題の新刊

黄金の少年、エメラルドの少女

イーユン・リー著/篠森ゆりこ訳

978-4309205991
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 北京出身で、今やアメリカでもっとも優れた新鋭のひとりとして知られる女性作家の小説集。九つの短篇の大半は現代中国が舞台だ。
 表題作では、母親の手で育てられた40代の男性と、父親しか知らない38歳の女性が気のりのしない見合い話に付き合う。中国では理想的な男女のことを「金童(ゴールド・ボーイ)」と「玉女(エメラルド・ガール)」と呼ぶが、適齢期を過ぎて独身の二人は、世間から見れば変人だ。だが、二人は独りきりの未来を受け入れ、人生に期待しなければ失望しないことを知ってしまっている。心を閉ざす者同士の哀しみはすぐに癒やされるものではないが、物語は、時の流れと他人の優しさが心の傷を癒やすことを暗示させる。
 移住先のアメリカで一人娘を失った壮年の夫婦が、中国の辺鄙な山岳地帯で代理母を探す「獄」。適齢期になっても結婚しない子を持つ母親たちが不倫の探偵業に生きがいを見いだす「火宅」。愛の求め方と諦め方は独特だが、頑なに孤独を選んでいるようにも見える人々が社会の片隅に安らぎを得る姿がやさしい。

週刊朝日 2012年11月2日号


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