書評『台湾海峡一九四九』龍應台著/天野健太郎訳 |AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

《話題の新刊 (週刊朝日)》

台湾海峡一九四九 龍應台著/天野健太郎訳

このエントリーをはてなブックマークに追加
中川六平#話題の新刊

台湾海峡一九四九

龍應台著/天野健太郎訳

978-4560082164
space
amazonspace

amazon.co.jp

space

 「家族の歴史を知りたい」とドイツで暮らす19歳の息子が言った。母、つまり著者は、その問いに応えていく。はじまりは自分の両親の歩み。なぜ、中国大陸から海峡を越え台湾にやってきたのか。1949年、母は中国の故郷から列車を乗り継ぎ、気がつくと海南島にいた。長男は故郷に残し次男を胸に抱いて。そして、難民のひとりとして台湾の南・高雄にやってきた。
 背景には、中国大陸での共産党と国民党の内戦があった。父は国民党軍の関係者。200万人が難民となり海を渡ったという。その難民相手に、母は薄く切った西瓜を売りながら子どもを育てた。
 母と同じ運命を引き受けた1949年の体験者を訪ね、口述記録を重ねていく。国民党軍にだまされて海を渡った男。共産党と国民党にひきさかれた幼馴染み。映画「悲情城市」が描いた「2.28事件」の台湾人の悲劇で傷ついた記憶を持つ人も描く。09年、台湾で刊行されベストセラーになるが、中国では禁書という歴史ノンフィクション作品。

週刊朝日 2012年10月12日号


トップにもどる 書評記事一覧


関連記事関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい