病気知らずだった私だけど、84歳で乳がんになったんです。気づいたきっかけは“抱っこ”。相手は織田裕二君! 彼が主演のドラマに出演し、撮影後、花束を頂いて感激のあまり抱きついたの。そしたら私を抱えたままグルッと回ったんだけど、脇下がチクッと痛んだ。後で調べたら乳がんですって。同じころに浅草公会堂の楽屋のトイレで滑って大腿骨を骨折……。幸い、1カ月後に舞台に復帰できました。ところが次の年に東京駅の階段を踏み外して36段も落ち、右手を骨折したんです。それはちょっとこたえたわね。でも頭だけは働かせていました。そのときに詠んだ都々逸のひとつが「生命とは粋なもんだよ 色恋忘れ意地張れなくなりゃ石に成る」。

 人生、色気も心意気も失ったら終わりってこと。そうなりたくはないから頑張るんです。何でもよく食べて晩酌も毎晩してますよ、日本酒を1合だけどね。今の夫は24歳下だから、一緒になったときは周囲に騒がれたけど、もう27年経ちました。これからも言いたいこと言って、歌って笑っていきますよ。年下の亭主をうまく使ってね。

週刊朝日 2013年4月19日号