ジョンソン英首相はアストラゼネカ製ワクチンで3月に1回目、6月に2回目を接種した(gettyimages)
ジョンソン英首相はアストラゼネカ製ワクチンで3月に1回目、6月に2回目を接種した(gettyimages)

 13日には1日の感染者数が初めて全国で2万人を超え、東京都の5773人をはじめとして多くの地域で過去最多を記録している。感染の拡大が止まらない今、大きな期待を寄せられているワクチン接種。16日から一部都府県ではアストラゼネカ社のワクチン供給が始まるが、その副反応や効果は既存のワクチンとどう違うのか、医師に聞いた。

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 緊急事態宣言が発令されている6都府県には、16日からアストラゼネカ製のワクチンが重点供給される。東京都には1万4800回分のワクチンが供給され、接種を進める方向で調整されていると報じられている。また、大阪府でも23日から、大阪市などでアストラゼネカ製ワクチンの集団接種を実施する方針が発表されている。

 既に接種が進められているファイザー製、モデルナ製のワクチン不足を補うことが期待されるが、その一方で、まれではあるが接種後に血栓症を起こした例が海外で報告されている。血栓症という言葉に不安を感じる人も少なくない。新たに接種が始まるアストラゼネカ製ワクチンとはいったいどのようなものなのか、

 東京・新宿のナビタスクリニック理事長、久住英二医師に聞いた。

――そもそも、今回のワクチンはどのような仕組みなのでしょうか。

 モデルナやファイザーは、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンという種類のワクチンです。mRNAというコロナのスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図を体の細胞の中に入れます。

 それに対して、今回、接種が始まるアストラゼネカや、ロシアのスプートニクV、ジョンソンエンドジョンソンが作っているワクチンは、ベクターワクチンという種類のワクチンです。アデノウイルスという、普段だと風邪を引き起こすウイルス使って、コロナのスパイクタンパク質を作るDNAを細胞の中に入れる。それを打つと、アデノウイルスが細胞に感染しコロナの遺伝情報を伝えます。mRNAワクチンも、DNAベクターワクチンも、体内で自分の細胞によって作られたコロナのスパイクタンパクが免疫反応を引き起し、免疫が付くという仕組みです。

 ベクターとは、「運び屋」という意味です。こうしたベクターを使ってウイルスの遺伝情報を体内に入れるという方法は、今回が初めてではありません。エボラ出血熱を起こすエボラウイルスのワクチンの際にもこの技術が使用されていました。

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