コロナ療養施設となった吉祥寺東急REIホテル(撮影・上田耕司)
コロナ療養施設となった吉祥寺東急REIホテル(撮影・上田耕司)

「反対の保護者は多かったです。ここは普通の保育所で0歳から6歳児がいます。保護者からは『コロナ陽性者が勝手に出歩いちゃうのではないか』などの心配の声もありました。全国的にはそういうことが実際にありましたから……」

 東京都が保護者のために説明会を開いたが、納得はいかなかったという。

「私も説明会には行きましたが、図面を渡されて、ここはパーテーションを置くなどという簡単な説明でした。私たち保護者の意見を聞いてくれる場ではなくて、決めたことの事後報告でしかなかった。私たちがどんな意見を言っても、変更する気がないと気づき、時間のムダと思いました。ホテルの決め方がよくわからず、何も起こらなければいいなと思います」(同前)

 開設を前に反対した保護者の多くは保育所の姉妹店に移ったという。約30名いた子どもは現在、半分の15名くらいに激減しているという。

「『ここがコロナ療養施設でなくなったら、また戻って来たい』と言った保護者もいました。出て行きたくても、子どもの受け入れ先がなくて動けない方もいます」(同前)

 保育所の本社に取材したところ、こう回答が寄せられた。

「心配はないわけではないですが、保護者の人それぞれかと思います。これは東京都がお決めになったことなので、会社としてはノーコメントにさせていただきます」(担当者)

 東急REIホテルは北海道から沖縄まで全国に約20店舗を展開するホテルチェーン。経営母体である東急ホテルズではこう説明した。

「私どもは、東京都から要請があったので、それにお応えしたということ。建物をお貸ししているだけで、運営は東京都になります。『東急REIホテル』の看板を外したりすると費用がかかるので、外していません」(総務担当者)

 ホテルのテナントとして入居している飲食店からも不安の声が上がった。テナントの店主はこう話す。

「この件で東京都の職員とは一度も話をしたことがありませんし、説明会もありません。全てテナント契約先のホテル側と相談しています。ホテルの担当者には、『コロナ患者さんが集まっているビルに食事に行かれますか』と尋ねたこともありました。そうしたら『なるべく行きたがらないだろう』と答えた。ホテルから半年以上、療養施設になると聞いています」

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テナント入居の店主の訴え