AERAdot.編集部調べ
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「長崎は土砂災害の多い地域です。昭和57年(1982年)に大雨による大水害が起こり、土砂災害で多くの人が亡くなっている。この災害がきっかけで、危険な地域を通知し、避難してもらうというソフト対策を行うきっかけになっています」

 土砂災害の種類別で見ると、地すべりでは長野県が1519カ所、新潟県が1447カ所と他の地域と比べて多い。どうしてなのか。砂防学が専門の信州大の平松晋也教授はこう説明する。

「長崎は土砂災害の多い地域です。昭和57年(1982年)に大雨による大水害が起こり、299人が亡くなりましたが、その6割強は土砂災害によるものでした。この災害が契機になり、危険な地域を通知し、避難してもらうという現在のソフト対策につながる対策が取られるようになりました」

■リスク少は沖縄、青森

 反対に警戒区域の少ない自治体はどうか。

 沖縄県は1183カ所と最も少なかった。沖縄には標高の高い山が少なく、大きな川もない。比較的平坦な地形が指定箇所の少なさにつながっていると見られる。地形・地質などに詳しいだいち災害リスク研究所の横山芳春所長はこう付け加える。

「沖縄の地質は本土とは異なり、サンゴ礁などからできた石灰岩の地域も多い。比較的硬い岩になっており、土砂災害も起こりにくいと言えます」

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 次に少なかったのが、茨城県で4002カ所だった。県の北には山が広がっているが、南には関東平野(常陸台地)が広がっており、山がない。県北の山も500~600m程度の山が多く、斜面が少ないのも少なさにつながっていると見られる。

 八甲田山や岩木山など活火山がある青森県も4042カ所と、全国で3番目に少ない結果になった。専門家からも「なぜ少ないのか不思議」と疑問の声があがったが、県河川砂防課の担当者はこう語る。

「山もあるが、平地も多い。人口も少ないので、危険なところに住む必要がないのが少なさにつながっているのではないか。全国的にも早く指定を済ませており、指定が遅れているというわけではありません」

 自分の住む地域にはどういったリスクがあるのか。改めて見直しておこう。(AERA dot. 編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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