AERAdot.編集部調べ
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 各地で土砂災害のリスクが高まっている。7日には島根県と鳥取県で大雨をもたらす線状降水帯が発生。記録的な大雨で島根県で約36万人、鳥取県で約12万人もの住民に避難指示が出された。9日から10日にかけても九州を中心に警報級の大雨に見舞われる可能性があり、引き続き土砂災害への警戒が必要だ。AERA dot.では、国土交通省が公表している「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」(3月31日時点)のデータをもとに、都道府県ごとの土砂災害リスクについて専門家に取材した。リスクの多い自治体、少ない自治体とは――。

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 国交省が公表する「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況」の土砂災害警戒区域とは、土砂災害が発生した際に住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがある場所のことでイエローゾーン、また、家屋の損壊や著しい危害が生ずるおそれがあるなどよりリスクのある場所は土砂災害特別警戒区域で、こちらはレッドゾーンといわれる。

 全国で一番指定箇所が多かったのは、広島県で4万7691カ所だった。広島県ではたびたび土砂災害が起きている。18年の7月豪雨では、広島市安芸区矢野地区や呉市天応地区で土石流により住宅の全壊,土砂の流入などの被害が相次いだ。

AERAdot.編集部調べ
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■広島は地質も大きく影響

 全国治水砂防協会の大野宏之理事長はこう見る。

「広島は平地が少なく、山の中に入り込んで暮らしているのが特徴。時期は異なるものの広島市や呉市では街が大きく発展していく一方で、危険な場所に人が住むようになった。それが、指定箇所が多い要因です。また、広島の地質は花崗岩が風化してできた真砂土(まさど)で、土砂が崩れやすい。広島で災害が実際に多い原因になっています」

 次に多かったのは島根県で3万2219カ所だった。島根県の約8割は森林が占めている。山の利用が進んでおり、平地は田んぼや畑として活用して、斜面に家を建てることも多いといわれている。

 次いで多かったのが長崎県で3万2079カ所だった。急峻な山地や崖地が多いという特徴がある。例えば、長崎市は港町として発展してきたが、後ろには山があり、土砂災害のリスクも高い。また、急峻な山を抱えている離島も多い。大野理事長はこう語る。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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