あさとひわ著『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)より
あさとひわ著『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)より

 イラストレーターのあさとひわさんが、レビー小体型認知症と診断された父(当時78)を母と一緒に支える日々を描いたコミックエッセイ『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)。「読んでいてほのぼのする」「家族の愛情を感じる」と話題ですが、介護の中では心が折れかけたこともあったと言います。

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 ただしそれは、お父さんの介護と関係があるような、ないような……。

■お困りごとなど、ありませんか?

 お父さんが認知症と診断されてから3カ月ほど経った頃、病状が急変してしまい、入院することになりました。入院中はずっとベッドの上、移動はすべて車椅子。足腰の衰えは確実で、退院するならリハビリは必須。これからどうなってしまうのか……。

 そんな不安を抱えていたとき、病院のソーシャルワーカーさんに相談できることになりました。あさとさんはお母さんと一緒に、お父さんの退院後の不安について、いろいろ話を聞いてもらいます。ひとしきり話をし、ソーシャルワーカーさんから「そのほかにいま、お困りごとなどありませんか?」と聞かれたとき、母は衝撃のひと言を言うのです。

「娘がいつまでも独り身なんです」

ここで言う!?と誰もが突っ込みたくなるこのセリフ。著者のあさとさんに、お話を聞いてみました。

――お母さん、何もこんなところで……と思ってしまいました。

「今?」って思いますよね。私なりに、父や母のことを気にかけていろいろやっているのに、それよりも私が独身であることが心配だと言われ、心折れかけました……。ソーシャルワーカーさんが、「おじょうさんはしっかりされてますから、大丈夫だと思いますよ」と言ってくれたのが救いです。

 もともと母は、何かというと「結婚、結婚」と言ってきて、それで私は実家から足が遠のいていたんです。父が認知症になってからは頻繁に実家に帰るようしましたが、忘れたころに母から「結婚」攻撃をされて、喧嘩になりましたね。

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