空港では出発した国別に色分けされたカードを手首につけられ、入国への手続きが行われた
空港では出発した国別に色分けされたカードを手首につけられ、入国への手続きが行われた

 書類の審査が終わると、唾液採取による抗原検査が行われ、その後アプリのインストールと使用方法の確認が行われた。ここでスマホを持ち合わせていない乗客は、その場で有料のレンタルをしなければならない。筆者のアプリの作動確認と説明に当たったのは中国人とフィリピン人の派遣スタッフであったが、彼らによるとそれぞれ1日に数百人の乗客を対処しているという。外国語での対応の必要性などもあるとは思うが、日本における水際対策を外国人が支えているというのは、現在の日本社会を大きく反映しているように筆者には感じられた。

 これらの作業が終わると、搭乗前に発行したQRコードを空港職員がスキャンし、日本における滞在先や連絡先の確認が行われる。その後はひたすら検査結果を待つだけである。ここに至るまでおそらく空港内を少なくとも1キロ以上は歩いたと思うが、ニューヨークから14時間近い飛行時間の後に、この距離の徒歩での移動はかなり体力を使う。筆者の周りには子連れの家族や高齢の入国者もいたが、かなり大変そうであった。

 検査結果を待っている間に、同じ便に乗り合わせた日本人高校生(16)に空港における水際対策についてどう思うか尋ねると、「日本における感染の再拡大を防ぐためには、このぐらいのことは喜んでします」という答えが帰ってきた。1年ぶりに日本に帰国したという彼はその後、羽田空港まで迎えに来た両親の車で10時間近くかけて、実家のある広島市まで戻る予定だと語った。

 検査結果が出るにはさらに2時間近くを要したが、陰性結果が出て入国審査を済ませ、荷物を受け取るまでに、日本へ到着してからすでに4時間以上が経過していた。空港スタッフによると、すべての工程に長い時で5~6時間かかるという。空港を出ると、筆者もさすがにヘトヘトであった。

 しかし、これで入国のすべてが完了したわけではない。筆者のような検疫強化対象国・地域から入国した者はここから、政府の指定した宿泊施設にて3晩を過ごさなければならない。アメリカから入国した20名ほどの乗客を乗せた専用バスは、1時間ほどかけて都内にあるホテルに到着した。

次のページ
部屋から一歩も出られない3泊4日の隔離