大会組織委員会の橋本聖子会長(撮影/上田耕司)
大会組織委員会の橋本聖子会長(撮影/上田耕司)

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は18日19時、記者会見を開き、「最重要課題となっていた観客の扱いについて判断が必要なタイミングが近づいてきた」と語るとともに、「本日午前9時半、コロナ対策分科会の尾身茂会長が(組織委員会のある)トリトンスクエアにお見えになりました。尾身会長から提言をいただきました」などと語った。

【写真】会見場の外では「おうちに帰れ、コーツさん!」の声も

 橋本会長らの会見がはじまるおよそ1時間前から、尾身会長らが日本記者クラブ(東京都千代田区)で会見。その場での尾身会長の提言と、橋本会長の考えは対立するものとも予想されていたが、橋本会長の言葉の節々からは、尾身会長ウェルカムと受け取れた。

「尾身会長の提言では、無観客が望ましいという提言をいただきました。感染のリスクを避けるためには無観客が望ましいと思っておりますが、他方で観客を入れた場合についての提案も示されましたので、やはり、様々な競技大会、Jリーグ、プロ野球等がしっかりとしたエビデンスを作り上げてこられたという実績がありますので、そういった観点から考えて行く必要もある。

18日19時から行われた記者会見(撮影/上田耕司)
18日19時から行われた記者会見(撮影/上田耕司)

 同時に東京五輪・パラリンピックは特別なものであるので、より厳しい制限をかけるべきだということもよく理解をしている。より厳しい条件の中でどのようにしていくかということを考えていかなければいけないと考えておりますので、そういった受け入れ態勢を国民のみなさんに理解をしていただく。そのために最大限の努力を5者協議に向けてしていきたいと思っております」(橋本会長)

 この5者協議とは、政府、東京都、組織委、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)による協議で、21日に開かれる。政府などが「最大1万人」で観客上限を検討しているとの一部報道もあるが、実際の上限は5者協議で決まる予定だ。

 尾身会長が無観客の提言をしつつ、有観客についての提案もしたことが、橋本会長としてはマッチしたようだ。尾身会長は会見で、「五輪を開催することで日本が新しいモデルを発信することができるのではないか、これを期待したい」という趣旨の発言もしたからだ。尾身会長がやってきた時、そういう話をしたのかという質問には、

「尾身会長は、オリンピックを開催するということは非常に意義があると認識していただいていた。開催について厳しい条件を課せながらもどのように東京大会を開催していくことができるのかというアドバイスをいただいたことは非常にありがたいというふうに思いました」(橋本会長)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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