公立大にも目を向けてみよう。上位には美大、芸大に加え、医大、歯科大、薬科大も多く見られる。トップ10では、3位の金沢美術工芸大、4位の愛知県立芸術大、8位の大阪府立大をのぞき、医療系大学だ。

「公立大は学費の面では私立大に比べてとてもリーズナブル。さらに、歯学部や薬学部は非常に選択肢が限られていますので、浪人生が集まるのでしょう」


 一方、大規模私立大で現役生比率が最も低いのは、東京理科大だ。2位の慶應義塾大と約5ポイントの差がついている。

「難関大をめざす理系受験生は、国立は東京大や東工大、私立は早稲田大や慶應義塾大を選びます。次に受ける大学として、東京理科大は人気があります。MARCHは文系のイメージが強く、理系学部のブランド力は少し弱い。そのため数十年前からずっと、東京理科大は理系浪人生の“受け皿”として機能してきました」

 反対に、現役生比率が高い大学はどのような顔ぶれなのだろうか。国立大では教育系大学が多い。1位兵庫教育大、2位愛知教育大、3位京都教育大は、いずれも既卒生比率が1割に満たない。


「背景には、近年、教員のなり手が減少しているという事情があります。そのため教育系大学の競争率も高まらないのではないでしょうか。その中でも難関大に行きたい受験生は、浪人も覚悟のうえで東京学芸大や横浜国立大などの教育学部をめざす一方で、浪人を避けたいという現役生がこうした中堅大を受験しているのだと思います」

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現役生が100%の大学も