柴田氏はIT事情にも詳しい(撮影/写真部・松永卓也)
柴田氏はIT事情にも詳しい(撮影/写真部・松永卓也)

――現状では、元暴力団員で海外の刑務所に服役経験があるホーミーKEI氏の「KEI family」(チャンネル登録者数=24万8000人)、関東連合とも関わりがあり作家活動もしている瓜田純士氏の「瓜田夫婦」(18万3000人)、元暴力団組長だった油山真也氏の「ゆやまチャンネル」(12万人)などはチャンネル登録者数が10万人を超えています(6月8日時点)。その他、タイマン無敗という伝説を持つ久保広海氏の「タイソンチャンネル」、11回の逮捕歴があるダルビッシュ翔氏の「ワルビッシュTV」、宇田川警備隊というチームの総長だった小山恵吾氏の「KEIGO COYAMA」などもどんどん伸びて4万~5万人近い登録者数がいます。今年4月からは、有名地下格闘技にも出場した元KGB(チーム名)幹部の内藤裕氏や、中国残留孤児の2世を中心とした半グレ組織「怒羅権」の創設者である佐々木秀夫氏なども参戦して、群雄割拠という状況です。すでにYouTubeだけで生計が立てられるくらいの収益がある人もいそうです。

 わかりやすいところで言えば、多くのアウトロー系YouTuberが目指しているのは、格闘家の朝倉未来くんのようなチャンネル(登録者数180万人)でしょう。でも、彼は元不良ではあっても「格闘家枠」なのでカテゴリーが違います。ゆえに広告収入の入り方も異なります。

 YouTubeの1回再生あたりの広告収入は0.3円~0.48円が相場とされています。0.48円取れるのはゲーム実況など広告クライアントとの親和性が高い分野で、アウトロー系は底辺に限りなく近い。あと、今は8分以上の動画だと途中でミッドロール広告が挟み込めるので、その収入が加味されます。概算の予測ですが、瓜田のチャンネルで月に60万円~80万円くらいの収益だと思います。

 それなりに安定して高い収入を得ているとも言えますが、ここからいくら再生回数を増やしたとしても、アウトロー系の動画には企業広告が入らないのでスケール(規模の拡大)しないという決定的な欠点があります。たとえば、カリスマYouTuberならば、動画の中に商品を映り込ませておくだけでクライアントから年間5000万円の広告料が入るなど、「企業案件」で収益を一気に拡大することができます。アウトロー系はこれが見込めないので、ビジネスとしては限界がある。そこがわかっていないアウトロー系YouTuberは多い気がします。

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YouTubeのバトルは基本的に“プロレス”