例えば、文学部英米文学科では、共通テストの配点は国語、地歴公民、外国語がそれぞれ100点、独自問題の配点は200点になっている。法学部の独自問題では「国語総合」と「世界史B」、「日本史B」、「政治・経済」の知識を基本に、論理的な思考力や表現力などが問われる問題になっている。

 受験生にとっては過去の入試問題もなく、対策が立てづらい。特に私大専願の受験生からすれば、共通テスト対策は負担が重い。こうした事情で敬遠する受験生が相次いだとみられる。そこに新型コロナの感染拡大が追い打ちをかけた。鈴木入試課長はこう言う。

「高校生からは新たな共通テストを迎えるにあたり、受験勉強を不安視する声があがってきていました。コロナ禍で受験準備も思うようにいかず、間に合わないかもしれないということもあり、本学の入試に対して慎重に構えた受験生が多かったのでしょう」


 志願者の激減に、OBや関係者らからは「受験生から見放された」「自滅した」「青学ブランドも落ちた」などと悲嘆の声が漏れた。専門家はどう見るか。大学の志願動向などに詳しい大学通信の安田賢治常務は「思い切った改革に出た結果」と評価する。

 いま大学では、幅広い知識をもった受験生や、数学のできる受験生が求められている。社会では、複雑な課題を解決する人材や、データ分析できる人材が求められているからだ。3教科型の入試が多い私大では、そうした人材を獲得するためには入試改革が必須だ。しかし入試を変えれば受験者数が減り、受験料収入も減るリスクがある。そのため二の足を踏む大学が多いのが実情だ。安田常務はこう語る。

「青学の志願者数は揺り戻しで来年増えるでしょうから、そんなに心配することはない。国公立大学を目指すような、今までは違う層の学生が多く入学しているとみています。ここからどういった学生が育ってくるかがポイントで、この結果で改革の成否が決まるでしょう」

 大学も今回の志願者減は「失敗」とは捉えていないようだ。

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「本学のブランド力が低下したわけではない」