出口に案内の人も多数配置(撮影・吉崎洋夫)
出口に案内の人も多数配置(撮影・吉崎洋夫)

 先の女性(86)は高円寺(杉並区)からバスと地下鉄を乗り継いで、都営三田線で大手町駅までやってきた。少し道に迷いながらもなんとか会場まで着いたが、「案内の貼り紙と人が立っていたから、何とかたどり着けた。だけど、ここまで道のりが長いねぇ」と漏らした。

 高齢者にとってはなかなか大変な道のりだが、東京メトロと都営地下鉄は、高齢者を迷わせないように十分すぎるほどの対応をしていた。

 記者が丸ノ内線に乗って、大手町駅に降りると、「大規模接種センター 最寄り駅出入口 ↓」と大きな案内図が目に入った。その矢印の方向に目をやると、さらに同じ案内図が何枚も貼ってある。

 分かれ道には、看板を持った人を配置し、仮に迷いそうになったとしても丁寧に対応できるようになっている。記者が駅のホームから会場まで歩くと10分ほどで到着したが、それまでに案内図が50個以上、看板を持った人は9人もいた。

 東京メトロの駅員はこう話す。

「数歩、歩くと案内があるほど配置している。各地から高齢者がやってきますので、迷わないようにしっかりと対応している。途中で地上に出てしまうと、ビルばかりで目印がほとんどわからないですからね。ここまでやれば、迷うほうが難しいかもしれない」

 対策は万全なように見える。先の防衛省関係者の話によると、欠陥のあった予約システムは改修が進み、「対象外エリアの人は予約できない、高齢者以外の人は予約できない、というレベルに到達した」という。このまま大きな混乱なく接種が進むことを期待したい。
(AERAdot.編集部 吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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