(撮影/写真部・東川哲也)
(撮影/写真部・東川哲也)

――今でもテレビに戻りたいと思いますか?

戻りたい……。戻りたいというのは……んー難しいですね。やはりテレビに育ててもらったので……複雑です。以前、島田紳助さんにお会いさせていただいたときに、引退して何年もたっていたのにまったくトーク技術は衰えていなかったんです。それで「戻らないんですか?」と聞いたら、「あのな、例えばテレビの現場が戦場やとしよう。そしたら俺はいまハワイにおるようなもんや。なんでわざわざ楽園から戦場に戻らなあかんねん」と。それを聞いて「ああ、そうかもしれん」と素直に思いました。たとえば「アメトーーク!」をやっていたときも毎回緊張してますし、プレッシャーも感じていました。「全員面白くしないと」とか、「全員にチャンスを与えたい」とか。僕は結構考えてしまうタイプやったので、しんどかったのはしんどかった。YouTubeも戦場ではあるんですが、やはりテレビとは過酷度の大きさが違う。そう考えると、「もう一度あそこに戻ってやるのか?」とか「やれるのか?」とかは、正直思います。

――今後について教えてください。

街を歩いていてると、よくご年配の方から声をかけられるようになったんです。テレビに出演していたころよりも多くて、「元気出してね」と言ってくれるんです。「俺めっちゃ元気やのになんでやろ」と不思議だったんですけど、おそらくYouTubeを見ていないので、彼らのなかの宮迫って、あの記者会見で止まっていて、あの状態のまま、僕が2年間を過ごしていると思っているんですよ(笑)。だから彼らの一人でもYouTubeを見てくれるようにもっと頑張らないといけませんね。5月23日には「WinWinWiiin」に次ぐ、テレビ規模の料理番組を配信する予定です。ミシュランの星を持つ凄腕シェフたちと超豪華なセットで料理をする番組なので、そちらももしよかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

――過去には「相方の隣に戻りたいです」と発言されていました。

バラエティー番組を見られるようになって、一番迷惑をかけたかもしれん相方が一人で戦ってくれている姿を目にしました。やっぱり辛そうなときもある。でも正直な話、50歳を超えましたから、お互い無理のないようにやっていきたい。ぶっちゃけテレビに戻るには壁がたくさんある。まだ30代とかだったら全力で前向きに考えるんですけど、10年後、還暦で「ただいま」って言うてる場合じゃないと。でも「短くても10年はかかるよな」という気配はうっすらと感じるので……チャンスがあれば、もちろんテレビに戻りたいですよ。でも互いに別の何かを本腰を入れて考えなければならない年齢になっているのも事実です。なんにせよ焦らずに相方の意見を尊重してあげたいと思っています。

■みやさこ・ひろゆき/1970年生まれ。大阪府出身。お笑い芸人。YouTuber。2020年1月に開設したYouTubeチャンネル「宮迫ですッ!【宮迫博之】」のチャンネル登録者数は約140万人。5月23日20時から同チャンネルでYouTube史上初の大型料理番組がスタート。ミシュランの星を持つ凄腕シェフと新進気鋭の若手シェフが、超豪華セットで異次元の戦いを繰り広げる。YouTubeの領域を超えた超豪華メンバーも出演。

(AERA dot.編集部)

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