巨人さんが「新しいお笑い」と評価するぺこぱ(C)朝日新聞社
巨人さんが「新しいお笑い」と評価するぺこぱ(C)朝日新聞社

 ただね、実は、昔の方がもっと厳しかったと僕は思っています。

 歌ネタはするな。下ネタもするな。コマーシャルのネタはダメ。芸能人の名前も出すな。先輩からきつく言われてました。それが今は何でもありですからね。

 昔の漫才がジャイアント馬場さんたちがやっていたオーソドックスなプロレスだとしたら、今の漫才は総合格闘技というかバーリトゥードになっています。

 今、急速に世の中が変わって、笑いの幅が狭められているとも言われていますけど、お笑いはそんなに脆弱(ぜいじゃく)なものではないですよ。

 若手の頃、先輩からよく言われたのは「キミらも新しい笑いを作れ」ということでした。僕はそんなにセンスも引き出しもないからかもしれませんけど「新しい笑いと言っても、そんなんあるか?」と当時から思っていました。

「横山やすし・西川きよし」師匠が自分たちのスタイルを作られて、そこから僕らと同世代やったら「紳助・竜介」が斬新なスタイルを作っていった。僕としたら「ここからさらに次って、何があるんや」と思ってましたけど、実際、そこからナンボでも出てきました。

ぺこぱ」みたいにボケを認めるツッコミで笑いを生むというのは、僕らの若い時には考えられなかった。体操でも新技がどんどん出てくるように、新しい笑いもまだまだ出てくる。これは間違いないです。残念ながら、僕のアタマでは考えられへんけど(笑)。

 今年でコンビを組んで46年。ここに来て、また発見もあります。

 僕はコロナ禍で精神的ダメージも受けましたけど、(オール)阪神ちゃんは全くそうでもないみたいで(笑)。毎日コンビニで焼きそばやらを買って家で食べてるのが「ホンマに気楽でエエわ」と言ってます。

 コロナ禍が明けたらというビジョンも描きます。そうやって先のことを考えると、いや応なく意識するのが自分の年齢です。

 もう、僕も今年で70歳ですからね。チャーリー浜さんも78歳で亡くなりましたし。嫁さんにも言ってるんです。「オレ、もう、あと10年やから」と。

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動ける時間は限られている