札幌市 林試公園/ガリバーすべり台(初代)撮影:山下晃伸
札幌市 林試公園/ガリバーすべり台(初代)撮影:山下晃伸

■まったく変わったガリバー

 このテーマで撮り始めてからもう14年。最近は同じ場所を再度、訪れることが多くなってきた。

 ところが、「撮り直したいと思ったら、もうなくなっている、というケースが出てきた」。

 冒頭の写真にあるガリバーのすべり台(初代)はすでにないという。すべり台がロープで囲われているのは、撤去直前だったためだ。

「いまは二代目になりました。ガリバーのすべり台なのは変わらないんですが、見た目がぜんぜん変わっちゃいました」

 いちばん最初に撮影した品川の公園の恐竜たちも、そのうちの一体がまさにいま、撤去中という。

「公園を半分にして児童相談所を建てるんです。そういったことがちょこちょこ起きている」

 老朽化などでなくなる遊具がある一方、逆に増えたり、塗装し直されてまったく色が変わるケースもあるという。

「『ビフォーアフター』的なことを感じるので、これからはそういう作品のまとめ方をしてもいいかな、と思っています」

東京都墨田区 隅田公園/イヌ(撮影:山下晃伸)
東京都墨田区 隅田公園/イヌ(撮影:山下晃伸)

■撮影機材を背負って外出

 撮影の際には、複数のカメラを使い分けるそうで、特に遠くに出かける際には、中判のペンタックス645Zをメインに、ソニーとオリンパスのミラーレスカメラをサブに使う。

「撮影する内容によって変えるんですが、基本は645Zでいちばんしっかりしたものを撮る。ソニーはアングルやレンズを変えて繰り返しシャッターを切る。オリンパスは『ライブコンポジット』機能を使って長時間露光で撮るとか。そのときにできる撮影をいろいろ、一気にやらないと撮りきれない。でも、最近はスマホを使って遠隔操作でシャッターが切れる機種が多くなってきたから楽ですね。撮影した画像の確認もできますし」

 ちなみに、今回のインタビューは午前中だったのだが、山下さんはたくさんの撮影機材一式を背負ってやってきた。

「いつもこんなかっこうで出かけるんです。夕方から撮影に行くこともできますから」

(文=アサヒカメラ・米倉昭仁)

【MEMO】山下晃伸写真展「夜光性静物観察記」
ニコンプラザ東京 THE GALLERY 5月25日~6月7日