これらを見分ける「指示薬」にも様々な種類があるが、今回はスーパーでも購入できる「紫キャベツ」を使った指示薬を用いる。紫キャベツにはアントシアニンという紫色の色素が含まれていて、これが酸性、中性、アルカリ性の水溶液と反応することでそれぞれ色が変わる。

水溶液は透明だが、文字には色が出てくる
水溶液は透明だが、文字には色が出てくる

「中性の水溶液だと紫キャベツの色そのままの紫色ですが、酸性が強くなるにつれてピンク→赤紫→赤と赤色に近づきます。そして、アルカリ性が強くなるほど青→緑→黄色と色が変化します」(東大CAST)

 紫キャベツの葉をちぎり、水を張った鍋で煮込むか、熱湯につけこんでしばらくするとアントシアニンが溶け出した紫色の液体ができる。この液体を画用紙に塗って十分に乾かし、上から酸性とアルカリ性の水溶液を使って絵や文字を書くと、透明な液体で書いたのにそれぞれカラフルな色が浮かび上がる――という実験だ。

紫キャベツの液を塗った画用紙にアルカリ性水溶液で文字を書くと、緑色に文字が浮かび上がる
紫キャベツの液を塗った画用紙にアルカリ性水溶液で文字を書くと、緑色に文字が浮かび上がる

 酸性水溶液は、掃除等で使われるクエン酸を水に溶かしたもの。アルカリ性水溶液は、こちらも掃除用に販売されている「アルカリ電解水」を使用した。いずれも酸性度、アルカリ性度が比較的高く、鮮やかな色を出すことができる。さらにもう一つ、東大CASTが準備した秘密のアイテムが粉末の食用色素(紫)。紫キャベツ液の色が薄かったら、こちらを追加すれば濃い紫色のアントシアニン溶液ができる。(熱湯を使う実験は大人が立ち会って行ってください)

 画用紙にまず、紫キャベツ液をはけやローラーなどで塗り広げて乾かす。そして、クエン酸水溶液とアルカリ電解水をそれぞれ別の絵筆につけて、乾いた画用紙上に文字を書くと、クエン酸水溶液で書いた部分はピンクに、アルカリ電解水で書いた部分は緑と、あざやかな色が浮かび上がる。絵の具は全く使っていないのに、カラフルな仕上がりだ。

酸性水溶液だとピンク色の文字になる
酸性水溶液だとピンク色の文字になる

 白い画用紙にクエン酸水溶液やアルカリ電解水であらかじめ文字や絵を描き、その上から紫キャベツ液を塗るとどうなるか――という実験もやってみたが、こちらはあまり鮮明な色が出なかった。

「紙に十分染み込まなくて、色が出づらくなるのかもしれません」(東大CAST)

 様々な紙で実験してみると、さらに違った結果になるかもしれない。

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新聞紙で割りばしが真っ二つ?