一方、ワクチン接種済みの知事は3人いた。

 仁坂吉伸・和歌山県知事(70)は4月15日、5月7日に接種していた。その理由は「県民に接種を促している立場であり、高齢者接種が始まってすぐ率先して申し込んだ」という。4月13日の記者会見で「申し込んだら、初日は無理だったが、その次の日に当たりましたので、早速やります」と語っていた。

 服部誠太郎・福岡県知事(66)も4月24日と5月13日に接種をしていることがわかった。その理由は「65歳以上の優先接種の対象となる県民、市民の皆様に安心して接種できることを見ていただくため、福岡市からのお声掛けにより、マスコミリリースのうえ接種を受けた」。福岡市では4月24日からワクチンの集団接種のトライアルを行っており、そこで接種を受けたという。

 広瀬勝貞・大分県知事(78)は5月10日に打っていた。「接種会場の様子を見に行くため、また、接種に不安を覚えている人もいるので、安心して打ってもらえるよう率先して打ちに行った」(知事室)という。

 ワクチン接種への期待が高まる一方で、供給が追い付かないという現状のなかで、自治体の首長たちは自らの接種の判断を迫られている。希望するすべての人がワクチンを接種できる速やかな供給が、国には望まれている。

(文/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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