インタビューに答える高知東生(撮影・小黒冴夏)
インタビューに答える高知東生(撮影・小黒冴夏)

 高知は自助グループのサポートを受けながら薬物依存の回復のための「12ステッププログラム」を実践している。このプログラムは12の段階を仲間と確認しながら実践していくというもの。米国が発祥でいわゆる依存症の回復プログラムとして世界中で活用されている。以下はアルコール依存症の回復のための12のプログラムだ。アルコールを薬物に置き換えて読んでいただきたい。

1、私たちはアルコールに対して無力であることを自覚した。自分自身の生活がコントロール不能である。

2、偉大なパワーが私たちを正気に戻してくれると考えるようになった。

3、私たちの意思と生活(について自分で理解している神の行いにゆだねると決めた。

4、恐れずに自分自身のモラルを深掘りし、その一覧を作った。

5、神に対し、自分自身に対し、他の人々に対し、自分自身の欠点の正確な気質を受け入れた。

6、これらの気質的な欠点をすべて神に取り除いてもらうことを受け入れた。

7、自分の欠点を取り除いてくださいと、謙虚に神に求めつづけた。

8、私が迷惑をかけた人々のリストを作り、彼ら全員に償いをすることをいとわなくなった。

9、その人々に対し、彼らを傷つけない限り、機会があった際に可能な限り、直接的な償いを行なった。

10、自分自身の気質について、その一覧を継続的に把握し続け、過ちがあればすぐにそれを認めた。

11、祈りと瞑想を通して神との意識的接触を深め、私たちへの神の意志と、それを実現しようとする神の力を知ろうとし、これらだけを祈りにより求めた。

12、これらのステップの結果、私たちはスピリチュアルに目覚め、このメッセージをアルコホーリックに伝え、さらにこの原理を私たちのあらゆる場面で実践しようとした。(『アルコール・アノニマス』12ステップより)

―プログラムはどうですか?

 本当に苦しいですよ。自分の全てをさらけださないといけない。僕はこれまで強がって生きてたし、人を信じるな、自分をみせたら負けだと思っていた。きっとこうだろうと決め込んで突っ走って生きてきた。12ステッププログラムをやっていて、自分にどれだけ歪んだ認知があるか知った。自分を認めることは本当に苦しかった。
12ステップがなかったら、ここまで自分と向き合えなかったと思う。

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薬物依存の本当の姿を演じたい