4月28日、捜査本部に連行される須藤容疑者(C)朝日新聞社
4月28日、捜査本部に連行される須藤容疑者(C)朝日新聞社

野崎さんが自宅で急死した時、須藤容疑者が第一発見者で、妻として食事を作るなど、覚せい剤を混入する機会が多くあったとみられる。
そして動機もあった。野崎さんが経営していた会社の元社員の証言だ。

「野崎さんは東京から和歌山になかなか戻らない須藤容疑者に『もう離婚や』と怒っていた。遺産は長く飼っていた愛犬のイブに相続させると話していた。須藤容疑者には毎月100万円がお手当で払われていたが、『和歌山に来ないなら払うのは、もうやめや』とも言ってましたわ」

 須藤容疑者は野崎さんが死亡後、経営していた会社の役員に就任し、4000万円近くの報酬を得ていた。また、会社の預金口座から、多額の金が須藤容疑者に入金されていたとの情報もある。

「須藤容疑者が55歳も年上の野崎さんと結婚したのは、カネでしょう。野崎さんが死亡後、事情聴取で100万円のお手当が結婚の理由の一つと話しています。離婚されたら、カネがもらえなくなる。野崎さんが愛犬、イブに全財産を相続させると言っていたのは、元社員たちが証言している。財産を手にできるのは、野崎さんかイブかとなる。野崎さんが殺害される前に、イブが急死、次に野崎さんが亡くなった。動機はカネでしょう。和歌山カレー事件と共通点が多いのは間違いない。あの時は夏祭りで、多数の人が現場に出入りしていた。しかし、今回は現場にいたのが、須藤容疑者と家政婦さんのみで捜査はより慎重にならねばなりません」(前出の捜査関係者)

 野崎さんは遺言書を残し、遺産は和歌山県田辺市に寄付する意向を示していた。その遺言に従って田辺市が野崎さんの預金や不動産などを算定した「故野崎幸助氏による遺贈に関する報告書」という内部文書によると、遺産総額は約13億5千万円だった。

 報告書によると、須藤容疑者が野崎さんの死後、弁護士を通じて民法で規定されている相続財産の配分を受ける意向を田辺市に示していた、と記されている。

次のページ
遺産総額は13億5千万円