特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜―19世紀 描かれた世界の鳥とその時代」を鑑賞する上皇ご夫妻。右は長女で、鳥類学者の黒田清子さん(c)朝日新聞社(代表撮影)
特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜―19世紀 描かれた世界の鳥とその時代」を鑑賞する上皇ご夫妻。右は長女で、鳥類学者の黒田清子さん(c)朝日新聞社(代表撮影)

 だが、多忙な清子さんが、「皇女」として再び、公務を担う可能性はあるのか。

「ご研究を続けてゆけるかという点もそうですが問題は、伊勢神宮の祭主の務めとの兼ね合いでしょう」(先の皇室ジャーナリスト)

 清子さんは2017年に、三重県伊勢市にある伊勢神宮の祭主に、天皇陛下の長女・黒田清子に就任した。祭主は天皇に代わり、伊勢神宮の祭事をつかさどる。皇族か元皇族が務めるのが習わしで、昭和天皇の四女、池田厚子さんより引き継いだ。祭主は、毎年5つの祭に奉仕する。五穀豊穣を祈る2月の「祈年祭」(きねんさい)、6月と12月の「月次祭(つきなみさい)」、10月の10月の神嘗祭(かんなめさい)、11月の新嘗祭(にいなめさい)だ。

祭主就任を報告した黒田清子さん。伊勢神宮に参拝する様子(c)朝日新聞社
祭主就任を報告した黒田清子さん。伊勢神宮に参拝する様子(c)朝日新聞社

 祭主の務めは、想像以上に過酷だ。前日から、禊(みそぎ)のために泊まりこみ、食事も牛や豚などの肉を避けて祭典に備える。当日は、浅沓(あさぐつ)を履き、白衣と緋袴(ひばかま)・小袿(こうちぎ)といった古式装束で臨む。装束で奉仕を務めるだけでも大変だが、6月と12月の月次祭は、3日間も続く。

 祭主として東京との往復生活に研究活動、さらに公務を手伝うとなれば、多忙な生活に拍車がかかる。宮内庁のOBは、こうつぶやく。

「いまのご生活を考えると、難しいかもしれません。でも、あの『紀宮さま』の、公務をもういちど、拝見したいと、期待してしまいますよね」

自家用車を運転し、皇居へ入る黒田清子さん(c)朝日新聞社
自家用車を運転し、皇居へ入る黒田清子さん(c)朝日新聞社

 果たして、「皇女」として皇室を支えるのは、黒田清子さんか、それとも眞子さまなのか。(AERAdot.編集部 永井貴子)