また、仮に眞子さまの場合を考えてみましょう。お相手の小室圭さんはニューヨーク州の弁護士資格取得を目指しているので、もし、このままお2人が結婚すれば海外で生活する可能性もある。海外で暮らしながら、公務を遂行するのは難しい。皇族が担ってきた公務を委嘱し、結婚後も続けてもらうには、国内で生活しなければならないのです。となると、居住の自由も奪うことになります。

 このように実は、どの案にもそれなりのハードルがあるのです。

婚約内定の会見(c)朝日新聞社
婚約内定の会見(c)朝日新聞社

――内親王の眞子さまをそれぞれの案にあてはめて考える国民は多いと思います。眞子さまの結婚問題が国民の関心事になっていることも、今後の議論に影響しますか。

河西:眞子さまがこのまま小室圭さんと結婚することに対して、それなりの数の国民が心配している状況を鑑みれば、有識者会議の議論にも影響を与えるでしょう。言葉に出すことはないかもしれませんが、頭の中にはこの問題があると思います。

 野田政権下で、女性宮家の創設が検討されたとき、国民は「女性宮家を創る」とことに対して具体的なイメージができていなかったと思います。当時、眞子さまは20歳。もちろん小室さんの存在について国民は知りませんでした。

 それが、眞子さまの結婚問題で、女性皇族の夫となる人について、一つの具体像を与えることになりました。そして、お2人の結婚に反対している国民は、女性宮家の是非を考えるときに「皇室の一員として認めたくはない人が女性皇族の相手だったら……」と想像するようになってしまったのです。

2020年12月撮影(c)朝日新聞社(宮内庁提供)
2020年12月撮影(c)朝日新聞社(宮内庁提供)

――天皇退位について議論された有識者会議(天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議)とは異なり、差し迫った状況にはなく、課題解決のゴールもさまざまなパターンがあります。菅政権下で、どこまで進むのでしょうか。

 菅政権ではまとめきるのは相当に難しいでしょう。選挙を間近に控えているけれども、そもそも短期間で答えを出せる問題ではないうえに、政権は支持率が低迷し、コロナ禍で課題が山積している状態です。有識者会議も、うまくいけば女性天皇・女系天皇、女性宮家の問題に何らかの道筋を付けられるかもしれませんが、着地点を見いだすところまではいかず、現在の論点を整理して国民に示すというのが現実的な役割になると思います。

 とはいえ、早く手を打っておかないといけない問題です。皇室の将来を考えれば危機的な状況であることには変わりはないのですから。

(まとめ/AERAdot.編集部 鎌田倫子)