宇治島の砂浜に群れている野生鹿
宇治島の砂浜に群れている野生鹿

 島の空と海は、どこまでも青く澄んでいる。誰もいない海をひとりで泳ぐと、頭が空っぽになる――。と、島々を頻繁に旅していたのは、2020年3月末までのこと。

【驚くほど透明な海に、真っ白な浜が広がる極上ビーチはこちら】

 Go Toキャンペーンも中止になった年末年始。せっかくなら自由に旅立てる日に備えて「旅のストレッチ」はいかがだろうか。これまで300近い日本の島々を旅し、『不思議な島旅』(朝日新書)の著書もある島旅ライターの清水浩史氏に「現実逃避度が高いベスト3島」を聞いた。

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【第3位】鹿に癒される無人島 宇治島(広島県福山市)

 私の旅は単独行動ばかり。時おり「海や島のひとり旅って、寂しくないですか?」と尋ねられると、がっくりする。寂しさを感じない旅なんて、ひとつも楽しくない。自分のちっぽけさをひしひしと感じる寂しさを通じてこそ、目の前に広がる光景が愛おしく思えてくると、私は思う。

慣れてくると鹿が近づいてくる
慣れてくると鹿が近づいてくる

 さあコロナ禍が明けたら、ひとりでも無人島に行ってみよう。ちょっと寂しさが不安な人は、宇治島がおすすめ。1963年に無人化した宇治島は、「動物の楽園」を目指して1985年に鹿が放たれた。しかしアクセスの不便さから楽園構想はとん挫し、今では繁殖した鹿が静かに暮らしている。

 そう、孤独が不安な人も、鹿があなたを癒してくれる。野生化しているとはいえ、そこそこ人間慣れしているので、好奇心から近づいてきてくれる。『不思議な島旅』に著したように、宇治島の鹿は遊んで欲しいのか、私の行く先々に後ろからついてきた。

「手にしているのは何だ?」「カメラです」
「手にしているのは何だ?」「カメラです」

 また宇治島にはエメラルドグリーンの海と白い砂浜が広がっており、夏場は船をチャーターした海水浴客も訪れる。澄んだ海に白い砂浜。そして気ままに暮らす鹿たち。山手に広がる緑もまぶしい。「ひとりでも大丈夫」「もう何もいらない」と思えてくる、絶景の無人島。

【第2位】サンゴ礁に癒される、絶景無人島 ハナリ島(沖縄県渡嘉敷村)

阿波連ビーチから望むハナリ島
阿波連ビーチから望むハナリ島

 海の透明度、サンゴ礁の豊かさという意味では、沖縄県の慶良間(けらま)諸島を思い浮かべる人も多いだろう。世界屈指の透明度を誇る「ケラマブルー」は、多くの人を惹きつける。

 コロナ禍が明けたら、光に充ちたケラマブルーに飛び込みたい。中でも渡嘉敷島(とかしきじま)の阿波連(あはれん)ビーチはおすすめ。ケラマブルーを象徴するような美しい海と真っ白な砂浜。海の中を覗けば、豊かなサンゴ礁も広がっている。

ハナリ島に渡してもらうと、すぐに透明な海
ハナリ島に渡してもらうと、すぐに透明な海

 しかも渡嘉敷島はアクセスが良く、那覇(沖縄本島)から日帰りも可能。でも、できれば島で宿泊して、ゆっくりケラマブルーを堪能したい。阿波連ビーチだけでも充分に癒されるものの、1キロ足らずの沖合に小さな無人島、ハナリ島(離島)がある。阿波連ビーチから、手軽にグラスボートで渡してもらえるし、料金も安い。

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