健:僕はハーフなんですが、子ども時代は露骨に差別されました。大学生のとき、トイレ共同のボロいアパートを借りようとした時のことは今でもはっきりと覚えています。不動産業者が「うちは外人も混血もお断り」と。20数年前はそれが普通だった。娘の絵子も混血になりますが、僕の子ども時代に比べると、日本の小学校で混血だということでいじめられたことは多分ない。

野口絵子(以下、絵子):(私が住んでいる)ニュージーランドは全体的に差別が少ない国だと思います。原住民にマオリ民族がいて、彼らの信念や文化を大切にしていこうというのを子どものころからみんな学んでいるんです。そこから、相手を受け入れ、理解しようというマインドが根付いていると感じます。

たかまつ:続いては“今日からできるSDGsアクション”を考えたいと思います。みなさんがご自宅でやっていることは何でしょうか?

健:僕の家は築300年ぐらいの古民家なんです。今、日本は空き家が増えていて、地方から人がいなくなっている。僕は3年前に事務所も家も、空き家バンクで探して、山梨にある今の家に引っ越してきたんです。古いものを再利用するという点で、これもSDGsになるんじゃないかな。

絵子:私はニュージーランドのご家庭にホームステイしているんですが、この家では、生ごみを堆肥にして、ガーデニングや畑に使っています。これがニュージーランドでは根付いていて、驚きました。

岸:コンポストはうちもやってます。随分とごみ自体が減るんですよね。また、水分が多い生ごみを燃やそうとするとすごくCO2を排出するんですけど、それをせずに済むというところもかなりSDGsの貢献になるなと思っています。

健:それと、日本はペットボトルが多すぎるんですよ。海外では水をチャージできるところが結構ある。

岸:最近、日本でも街のなかで水をチャージができる場所が分かる「BOTLTO(ボトルト)」というサービスがあります。

健:ネパールでは地域によってペットボトルの持ち込み禁止、キリマンジャロはビニール、ペットボトルが一切禁止なんです。富士山ではペットボトルが自販機で売っていますが、山小屋でチャージできれば、山にペットボトルを持ち込まなくて済むのに、と思います。

たかまつ:SDGsというと、スケールの大きい話に思いがちですが、私たちが日常的に自然と実践し、知る機会があるということをゲストの方々のお話から気づけたイベントになりました。一部の人々だけで考えるものではなく、家庭ベースで子どもたちに伝えていくことが、本当の意味でのSDGsの浸透につながるのだと感じました。(構成=たかまつなな

◎たかまつなな:1993年、横浜市生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科、東京大学大学院情報学環教育部修了。時事YouTuber、お笑いジャーナリストとして、現場に取材に行き、社会問題を発信している。18歳選挙導入を機に「株式会社 笑下村塾」を設立し、政治を面白く伝えるため、全国の学校へ出張授業「笑える!政治教育ショー」を届ける。「朝まで生テレビ」や「NHKスペシャル」などにも出演し、若者へ政治意識の喚起を促している。

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たかまつなな

たかまつなな

株式会社 笑下村塾代表取締役。1993年神奈川県横浜市生まれ。若者の政治参加が専門。主権者教育と若者議会を広めるべく、時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。株式会社笑下村塾を18歳選挙権をきっかけに設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」などを全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。

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