目指すは「令和の伊能忠敬」 各地の海辺を訪ねて写した日本の風土 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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目指すは「令和の伊能忠敬」 各地の海辺を訪ねて写した日本の風土

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早朝から犬の散歩やサーファーたちが行き交う、九十九里浜へと続く小径(撮影:岡嶋和幸 以下同)

早朝から犬の散歩やサーファーたちが行き交う、九十九里浜へと続く小径(撮影:岡嶋和幸 以下同)

写真家・岡嶋和幸さんの作品展「海のほとり」が10月2日から東京・丸の内のエプサイトギャラリーで開催される。岡嶋さんに聞いた。

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 今回の写真展は月刊「デジタルカメラマガジン」誌に連載中の岡嶋さんのフォトエッセー「海のほとり」をベースに再構成したもの。

 最初、それを知ったとき、「あまり新鮮味がないなあ」と思ったのだが、よい意味で裏切られた。誌面に掲載された作品と見比べると、内容がかなり変わっていて、「別もの」という印象を受ける。

 連載の各エピソードは、サーフィン競技会場、海水浴、秋祭り、海が見える駅、悪天候、理想郷など、「ばらばら。そのとき興味があったものとか、行けそうな場所とか。たまたまテレビで出てきたところをメモして、撮ってみようとか。ドラマのロケ地って、けっこう海辺があるじゃないですか」と、岡嶋さんは言う。

 展示作品は約70点。誌面に掲載したものから大幅に増やした。これほどの枚数を展示するのは昨年、この会場がオープンして以来という。

「もともと、連載のゴールとして展示をやりたい、という思いがあって、連載開始時にそれをエプソンに提案したんです。昨年9月に連載がスタートして、当初は連載1年分を東京オリンピックの直前に展示する予定でした」

 ところが、新型コロナの影響で春から臨時休廊に。写真展は一時、来年に延期。だが、運よく「『今年10月にどうでしょう』と、お声がけいただきました」。
出雲大社の近く、稲佐の浜でひときわ目立つ弁天島。この後ろまで歩いて行ける

出雲大社の近く、稲佐の浜でひときわ目立つ弁天島。この後ろまで歩いて行ける

海辺の町に引っ越して「10年間は全然海を撮らなかったんです」

「本当はハワイに住みたかったんですけれど」。そう言って笑う岡嶋さんが東京・練馬から千葉県・外房の御宿町に引っ越したのは20年前。太平洋の荒波によって削られた断崖と砂浜が交互する美しい海辺の町で、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」のロケ地にもなった。

 妻の実家がとなり町の勝浦にあり、結婚したころは「こんなところで生活できたらといいね」と言っていたものの、「夢のまた夢だった」。

 ところが、その夢が意外とすんなり実現する。きっかけは、時代を先取りした「テレワーク」だった。

「昔、仕事場が東京・飯田橋にあって、そこを拠点に動いていたんです」

 周囲には出版社やラボがたくさんあった。ところがインターネットとデジタルカメラを使って仕事をするようになると、わざわざ飯田橋に行ってパソコンに向かう必要性がなくなった。

「自宅で仕事ができるし、自宅も練馬である必要はないなと思って。思い切って御宿に引っ越したんです」

 海辺の町に住み始めたことがきっかけとなり、海の作品を生み出していった。そんな流れをインタビュー前、想像していた。

 ところが、本人に聞くと、「御宿に引っ越して、10年間はぜんぜん海を撮らなかったんです。なんか、身近になっちゃうと新鮮さがないというか」。

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