世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

ソーシャルディスタンスを守る男性の行列。現在は曜日ごとに男女をわけた外出制限は解除されているが、ロックダウン自体は現在も継続している(写真提供/Kohei Tsumura)
ソーシャルディスタンスを守る男性の行列。現在は曜日ごとに男女をわけた外出制限は解除されているが、ロックダウン自体は現在も継続している(写真提供/Kohei Tsumura)

■ロックダウン継続中の地域では…

 日本では緊急事態宣言が解除されたが、いまだに新型コロナウイルスは猛威をふるっているし、世界ではロックダウンが続いている都市もある。日本ではほとんど報道されない地域の実情を、意外と知らない人は多いのではないだろうか。

 そのなかのひとつで、私の知人がいるパナマ共和国の現状をお伝えしたい。パナマは日本から見たら地球のほぼ裏側にある。北米・南米を結ぶ地峡にあり、コスタリカとコロンビアに挟まれている国だ。日本人が聞いたことがあるワードと言えば、「パナマ運河」や「パナマ文書」といったところだろうか。

 人口400万人の小国でありながら、最近でも日に100人以上の新型コロナ感染確認者が出ている。さらに驚くべきことに、連日300人以上の逮捕者が出ているという。

 このことはパナマの知人に教えられた情報ではあるのだが、逮捕者とはどういうことだろうか?

「時間外に勝手に出歩けば連行もしくは高額の罰金ですよ」(知人)

「エッセンシャルワーカーはどうなの?」(ゴンザレス)

「基本的には外出許可があります。パナマには『Appetito24』という日本でいう『Uber Eats』のような宅配サービスがあるのですが、あるレストランの注文待ちで15台くらいのバイクが停まっていたそうで、それに対して警察が『密になるから』と取り締まろうとしたそうです。小競り合いの末に銃撃という事態にまでなったとか」(知人)

 どうやら警察の強引な取り締まりがあるようだ。これではアメリカの暴動の二の舞になりかねないところだが、警察の力が強すぎるため、住人たちは従うしかないそうだ。パナマには軍隊がなく、警察が軍隊の役割も担っている。しかも大統領の直轄組織として機能しているため、警察の力が強いのである。

著者プロフィールを見る
丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

丸山ゴンザレスの記事一覧はこちら
次のページ
曜日ごとに男女別の外出制限