綱島さんが監修に携わった2010年と2012年のセ・リーグの復刻ユニフォームイベント「グレート・セントラル」。来場者に配られたタブロイド判も綱島さんが手掛けている
綱島さんが監修に携わった2010年と2012年のセ・リーグの復刻ユニフォームイベント「グレート・セントラル」。来場者に配られたタブロイド判も綱島さんが手掛けている

 綱島さんは1999年から『週刊ベースボール』誌上でプロ野球のユニフォームについての連載を始め、モノクロ写真しか残っていなかった戦前のユニフォームを当時の選手を訪ねては色やデザインを確認し、カラーイラストで再現している。

「自分で着ていたユニフォームより対戦相手のユニフォームのことを細かく覚えている方が多かったのが印象的でした」

 戦前は選手がユニフォームを持ち帰って自分で洗濯することになっていたため、実際に洗濯していた選手の奥様方がユニフォームの色を覚えていたりもしたそうだ。こうした地道な取材を行うことで、資料には残っていないユニフォームのカラーリングを突きとめていった。

 2005年に連載をまとめた『プロ野球ユニフォーム物語』を出版すると、プロ野球界に球団史を振り返るイベントや復刻ユニフォームのブームが巻き起こった。14年には『ユニフォーム物語』をバージョンアップした『日本プロ野球ユニフォーム大図鑑』を刊行。『ユニフォーム物語』の影響で大幅に増えた復刻ユニフォームや限定ユニフォームを網羅した、大人も楽しめる図鑑となった。ユニフォーム研究の第一人者として、球団の歴史を振り返るイベントや復刻ユニフォームの企画の相談を受けることも多い。

ニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)の帽子マークを参考にデザインされた読売巨人軍のYGマーク。時代によってGのデザインが変更されている。こちらは1955年のもの
ニューヨーク・ジャイアンツ(現サンフランシスコ・ジャイアンツ)の帽子マークを参考にデザインされた読売巨人軍のYGマーク。時代によってGのデザインが変更されている。こちらは1955年のもの

■意匠管理がゆるかった古き良き時代の帽子の味わいも

 大洋ホエールズ時代からのベイスターズファンだという綱島さん。そのきっかけは選手とのキャッチボールだったという。

「小学校3年生の時、父親が会社の人たちと川崎市の丸子、今の等々力球場の辺りにあった大洋ホエールズの二軍グラウンドを借りてソフトボールの試合をするというので連れていかれて、下手な父親たちの試合を観ていても面白くないので、壁にボールをぶつけて遊んでいたんです。そうしたら外国人に声をかけられて一緒にキャッチボールをしたんですが、後で聞いたらそれが大洋のアグリーという選手だったんです。そこから大洋ファンになりました」

 大洋ファンとなった綱島少年。早速大洋の帽子を買いに走るが、当時はONの全盛期。右を向いても左を向いても巨人ファンばかりの時代で、子ども用の帽子は巨人用のものしか売られていなかった。

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