世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。

【写真】丸山ゴンザレスが目の当たりにした“集団埋葬地”

2011年に登場したバンコク行きの便。当時往復で4万円程度だった。再びこんな値段で乗れる日がくるのだろうか…
2011年に登場したバンコク行きの便。当時往復で4万円程度だった。再びこんな値段で乗れる日がくるのだろうか…

■航空会社破綻の余波

 新型コロナウイルスが世界的に蔓延し、人の移動が制限されている。この影響であらゆる業界が打撃を受けている。

 航空業界も例外ではない。5月19日にタイ国際航空が破産申請した。これまでにも今回のパンデミックの影響で「ヴァージン・オーストラリア」やコロンビアの「アビアンカ航空」などが経営破綻している。そして、その他の航空会社にも「経営破綻に陥るのではないか」と懸念する声があがっている。

 航空会社が直面している問題は、私にとっても深刻だ。世界中の国々が入国制限や入国後の行動制限をおこなっているため、海外渡航はほぼ不可能な状況だ。海外での取材がメインである私にとっては、取材活動がまったくできないのである。

 今年に入って、予定していた取材が何本もキャンセルや延期になった。近頃は「コロナでごめん」と取材相手にメッセージを送ってばかりだ。

 日本や海外では制限が一部緩和される動きも出始めている。いずれ海外に行ける日はくるだろう。だが、仮に渡航が可能になったとしても問題が残る。航空会社の経営悪化による「航空券の値上げ」の可能性である。

 現時点で利用できる国内便でもすでに価格が2~4倍になっているところがある。飛行機は便数に応じて価格が決まってくる。これから先の海外取材での旅費が跳ね上がるのは目に見えている。

 現状を踏まえ、同業のジャーナリストや旅行作家に「この先、海外で取材できるようになったらどうする?」というナンセンスな質問をぶつけてみた。

「とにかくタイミングを待つしかないだろう。そもそも今までが楽をしすぎていただけ。飛行機が頻繁に使えたのはLCC(格安航空会社)があったからだ。昔みたいに陸路で移動するようになるんじゃないか」(ベテラン旅行作家・40代)

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丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス/1977年、宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト。國學院大學大学院修了。出版社勤務を経て独立し、現在は世界各地で危険地帯や裏社会の取材を続ける。國學院大學学術資料センター共同研究員。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)など。

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